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ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)

ジャンパー膝とは別名「膝蓋靭帯炎」と呼ばれ、バスケやバレーなどのジャンプ競技者に多いことからこの名が付きました。症状は太ももの筋肉への負荷が重なり、筋肉が硬くなってしまい、主に膝を曲げる動作時、ジャンプや着地、長距離走行した際などに生じる膝蓋腱部(膝のお皿の下あたり)の痛みです。重度になってくると歩行時にも痛みを感じたり、階段昇降など日常生活にも支障をきたすようになります。特に競技レベルが上がってくる中学~高校にかけて発症リスクが高くなる傾向があります。
スポーツ復帰までに、軽度であれば1~2週間、中等度で1~2ヶ月、重度(難治性膝蓋腱炎)で3ヶ月以上かかり、腱や靭帯が切れている場合は手術を検討します。

膝の怪我

症状

ジャンパー膝の症状は、初期段階では運動の後に痛みや違和感を感じる程度です。時間が経つにつれて痛みが悪化すると、①運動全般で痛くなる ②日常生活に支障がでる痛み ③何をしていても痛い と悪化していきます。

  • 膝のお皿のすぐ下あたりに痛みを感じる
  • ジャンプや着地、長距離走行の際に痛みを感じる
  • 膝を曲げ伸ばしすると痛みがある
  • 階段の上り下りや椅子からの立ち上がり時に痛みがある
  • 熱を持ったり、腫れたりする

原因

  • 大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)とハムストリングス(太ももの後ろの筋肉)の柔軟性低下
  • ジャンプやダッシュなど、膝の急激な動作の繰り返しによるオーバーユース
  • お尻周りなどの筋力低下
  • 股関節、膝関節、足関節の可動域の低下
  • 急激な運動量の増加や運動メニュー
  • クッション性の低いシューズを履いて硬い地面での運動
  • 運動中の不良姿勢
  • 成長期で、骨の成長に筋肉が追いつかない

治療

膝の治療
  • 運動療法…医師や理学療法士など、専門家の指示を仰ぎ、症状に合わせたリハビリを行います
  • 薬物療法…湿布や痛み止めの内服、ヒアルロン酸やステロイドなどの注射で、膝の潤滑を高めます。痛みを抑え、関節の動きを滑らかにすることで日常生活でかかる膝への負荷を抑えられます
  • 装具療法…サポーターやテーピングの圧迫によって、スポーツや活動時の膝蓋腱の過剰なストレスが減り、痛みの緩和や膝蓋腱の修復力が高まる効果が期待できます
  • 運動器カテーテル治療…カテーテルを痛みの原因である血管がある場所の近くで抗生物質でできた薬剤を注入し、もやもや血管を死滅させます
  • 体外衝撃波治療…衝撃波を患部に照射することで慢性的な痛みの軽減、組織の再生を促します
  • PRP療法…採取した血液を抽出加工して作るRPP(多血小板血漿)を、患部に注射する治療です。PRPに含まれる成長因子が、傷ついた組織の修復を促進します
  • 超音波療法…超音波の振動を利用した施術で、血行の改善や炎症の軽減、疼痛の緩和、組織の伸展性向上、治癒力向上などの効果が期待できます

整形外科で治療を受ける

まずは整形外科で診断を受けましょう。
軽度の痛み以上の症状がある場合は、レントゲンやMRIなど精密検査を行い、医師の診断を受けることが重要です。正しい治療・リハビリを受けずにいると受傷した箇所は正しく治癒せず、可動域の低下・関節の不安定さが残り、結果としてより悪化を繰り返してしまいます。

接骨院、整骨院で治療を受ける

接骨院、整骨院で治療を受けることで早期回復を促すことができます。症状の解消だけではなく、体全体のバランスを見て原因を追及するため、体全体の不調を取り除くことができます。
また、関連する筋肉の柔軟性を高める為にそれらの筋肉をほぐす手技や、電療機器を使った施術を行います。急性期の症状が改善した後、患部のトレーニングを行いバランスよく筋肉をつけ、テーピングなどを行い再発防止につとめます。

RICE処置

ライス処置

安静(Rest)
損傷部を中心に動かないように包帯などで固定します。安静は局所のみならず全身的なものも含み、体内の循環が活発にならないようにします。

冷却(Ice)
患部を冷やすことで血管が収縮し血流を減少させ内出血を抑えます。さらに、患部周囲の組織の代謝を低下させることにより炎症を抑えることができます。1回のアイシングの時間としては15分〜20分が目安です。ただし、凍傷には十分注意してください。

圧迫(Compression)
患部を包帯やサポーターまたはテーピングなどで圧迫することにより内出血による腫れを抑えます。

挙上(Elevation)
患部を心臓よりも高い位置に上げることにより血液の環流を助けたり、局所の内出血を抑えます。

アイシング

アイシング

急性期(怪我や損傷の直後から3日間)に患部を冷却することで炎症による痛みや腫れ、熱感を軽減し、症状悪化を防ぐ方法です。特に急性の症状である熱を持った痛みに対して効果的です。
アイシングは、氷嚢やを使って患部を冷やし、前述の炎症による痛みや腫れ、熱感の軽減を目指すと同時に、これらの症状悪化を防ぐことを目的としています。

  1. 氷水を入れる袋1つを用意します
  2. 氷水を袋に入れて氷嚢を作ります
  3. 患部に氷嚢をのせて20分間冷やします
  4. 20分後、タオルと氷嚢を患部から離し、体温が自然に元に戻るのを待ちます。
  5. 2時間おきに1〜4を行います。
    ここまでを1セットとし、1日に2~3セットを3日間行ってください。

ジャンパー膝ら早期復帰するために

1. すぐに適切な治療を受ける

すぐに治療を受けないと重症化する可能性が高く、治療期間が何ヶ月も長引いてしまいます。
また、適切な治療を受けることも重要です。ある病院では、痛みが引くまで安静と言われたが一向に良くならず。別の病院では、骨にも異常が見つかり固定をしないと治らないということが判明。このようなケースは実際にあるので、一向に良くならない場合は別の病院に診断してもらいましょう。特に膝の専門医、または得意とする病院へ行くことを強くお勧めします。

2. 膝の炎症を抑えることを徹底する

痛み、腫れ、熱感がある場合は、改善されるまで安静にし、アイシングを行いましょう。焦って運動をしてしまうと炎症がひどくなり、治りが遅くなります。焦る気持ちを抑えケアに専念しましょう。休むのも練習の内です。
また、膝サポーターを使用することで、日常生活で膝にかかる負担を和らげることができます。

3. 太ももを中心に全身の柔軟性の向上

ジャンパー膝の主な原因は、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)が固くなり柔軟性が低下していることにあります。そのため大腿四頭筋の柔軟性を向上させることが必要ですが、大腿四頭筋が固くならないよう、ハムストリングス(太ももの後ろの筋肉)、股関節、膝関節、足関節、体幹など、全身の柔軟性を向上させる必要があります。そうすることで復帰後のパフォーマンスアップにも繋がります。

4. 太ももを中心に全身の筋力の向上

大腿四頭筋のみを鍛えると、体の使い方が大腿四頭筋に頼った動きになってしまいます。そのため、体幹から足腰など全身の筋力を鍛えることが重要です。全身の筋力を鍛えると運動フォームが安定し、膝への負担を減らすことができることに加え、復帰後のパフォーマンスアップにも繋がります。

ジャンパー膝らの早期復帰
プログラム6選

①マッサージ

マッサージで筋肉の張り、緊張状態を和らげることで血液の流れを良くし、回復を早めることができます。患部の周辺や関連するところを軽くもむ程度で痛みを抑えることができ、筋肉と関節の動きが良くなります。お風呂上りにやると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。

ジャンパー膝を3分で改善するマッサージ

膝の痛みを治すマッサージ

ジャンパー膝のケア法

②ストレッチ

膝に連なるお尻や太もも、股関節など全身のストレッチをすることで、膝への負担をより軽減することができます。また、ストレッチを行うことで可動域の確保、血流が改善し疲労が軽減されるため競技のパフォーマンスも向上します。お風呂上りにやると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。

膝の痛みにオススメのストレッチ【5種目】

股関節ストレッチ

③筋力トレーニング

筋肉が弱いと靭帯の張力が不足し、怪我をしやすくなることがあるので、筋肉を鍛えることは重要です。筋肉を鍛えることで体への負担を減らす上に、血流を良くすることで患部の状態が良くなりやすく、競技へのパフォーマンスも向上します。

ジャンパー膝の治し方 BEST3

慣れてきたら手にバーベルを持ち負荷を上げましょう

膝の痛みを治す筋トレ

慣れてきたら足首に重りを巻く、セット数を増やすなどして負荷を上げましょう

膝の痛みにオススメの筋トレ

慣れてきたら足首に重りを巻く、セット数を増やすなどして負荷を上げましょう

体幹トレーニング

ここからは体幹を中心とした筋力トレーニングです。体幹とは、頭と手足を除いた胴体(背、腹まわり)のことです。高いパフォーマンスを発揮するためには全身の力を連動させ、ロスなく全身に伝えることです。ただし、体幹が強いけど、動きが出ない選手はパフォーマンスに繋がりません。そのため、「柔軟性」と「強さ」が両立している体幹を作ることが必要です。体幹トレーニングは体幹の動き作り(ストレッチなど)とセットが鉄則です。この両立した体幹を向上させることで、下記の効果があります。

  1. 全身の動きを安定化させダッシュスピードが上がる
  2. ジャンプ力、バランス力がが上がる
  3. 身体のコントロールがよくなることで、ボールコントロールやプレーの精度が上がる
  4. 全身が安定しボールに力を伝えやすいため、シュート力・成功率が上がる
  5. リバウンドやポストプレーなどで当たり負けしない
  6. 姿勢の改善により、呼吸がしやすくなり、持久力が上がる
  7. 転倒・接触による怪我や肉離れを予防する
  8. トレーニングの効率を高める

体幹を中心とした、様々な筋肉を鍛えることで復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましう!
※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

3分体幹ストレッチ

体幹多軸ストレッチ

カリーのスキルコーチ直伝!体幹トレーニング7選

ボールを使った5分間の体幹トレーニング

④バスケトレーニング

ここからは怪我をしていてもできるバスケトレーニングです。ここで覚えていただきたい言葉が「患部外トレーニング」です。
患部外トレーニングとは、怪我している部位以外のトレーニングを行うことです。怪我をしている間でも動かせる部位で練習を行うことで、復帰をスムーズにすることができます。また、怪我をしているときにこそ強化できる部分があったり、新たなステップアップや、今まで気づかなかった新たな発見があるものです。
復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましょう!

※無理はしないでください

※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

椅子に座ってできるドリブル・ハンドリング練習!!

⑤心肺機能(体力)トレーニング

怪我をして1ヶ月休養すると、以前の心肺機能(体力)を取り戻すのに1~2ヶ月かかると言われています。早期復帰を目指す人にとってこの期間は痛手です。心肺機能が低下すると、体内の酸素量が低下しパフォーマンスの低下、心拍出力の低下によりすぐ疲れやすくなります。そのため足を怪我していてもできる心肺機能トレーニングをすることで、早期復帰を目指し、怪我前よりもレベルアップした体を手に入れましょう!
※痛みが出る場合はすぐに止めてください

エアロバイク

エアロバイク

エアロバイクは怪我によって走れない方でも、安全に太ももやお尻の筋肉、心肺機能(体力)を鍛えられます。自宅にエアロバイクがあるという方はなかなかいないはずなので、ジムなどで利用する時には毎回足の位置やサドルの位置を確認しておきましょう。正しい位置を知りたい時には管理人さんなどに聞くのが一番。間違った位置で行ってしまうと、足への負担が大きくなってしまいます。以下が具体的なメニューです。

  1. 400mインターバル走を想定
    60秒 × 10セット リカバリー45秒
  2. 1000mインターバル走を想定
    180秒 × 5セット リカバリー60秒
  3. ペダルの重さについては、脈拍が170程度まで上がる重さに設定してください

水泳

水泳

水泳は全身運動のため、全身の筋肉、心肺機能を鍛えることができます。また、水圧の力でマッサージ効果もあり、疲労の回復にも役立ちます。足が痛い場合は、足にビート板を挟んで手だけで前に進むようにすれば、効果があります。アスリートもプールトレーニングを活用しているので、非常に有効です。以下が具体的なメニューです。

  1. クロールで25m
    10本〜30本ペース リカバリー30秒
  2. クロールで50m
    5本〜15本ペース リカバリー60秒
  3. 目安は8〜9割の力で泳いでください。設定タイムを決めてもいいでしょう。

⑥メンタル

スポーツの世界で優れたパフォーマンスを発揮するためには、メンタル(心)を鍛えることが当たり前になっており、リハビリ時期でも同じことがいえます。リハビリをより効果的に・迅速に復帰する・ケガをする前以上のパフォーマンスのために頑張っていきましょう!

瞑想

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