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肉離れ

肉離れ(筋挫傷)とは、急な動作や無理な負荷により筋肉が部分的、あるいは完全に断裂・損傷するケガで、特に太ももやふくらはぎに多く発生します。激しい痛み、腫れ、内出血などが主な症状で、損傷時には「プチッ」という音が聞こえることもあります。発症直後は強い痛みで運動を継続できず、患部にくぼみや変色が現れることもあります。病院での適切な治療とリハビリを行わないと、血腫や瘢痕(はんこん)が残り、つっぱり感や再発のリスクが高まります。
スポーツ復帰までに、一般的には約3〜5週間と言われていますが、軽度の場合は1~2週間、中度の場合は1~2ヶ月、重度の場合は3~6ヶ月程度かかり、状態が悪ければ手術が必要です。

ふくらはぎの怪我

症状

  • 筋肉が断裂した瞬間に、患部に激痛が走る
  • 押したときの強い痛み
  • 関節を曲げ伸ばししたときの痛み
  • 筋肉の周囲に腫れが生じる
  • 皮膚が青紫や黄色に変色する
  • 筋肉が断裂した瞬間に、「ブチッ」や「バチッ」といった音が聞こえる
  • 筋肉に凹みが見られる
  • 歩くことが難しい
  • 損傷した筋の力が入らず、バランスを崩しやす
  • 筋肉の硬さ、動かしづらさ、柔軟性の低下

原因

  • ダッシュ、ジャンプ、ストップなど、筋肉に瞬間的に大きな力がかかる動作
  • 筋肉疲労の蓄積
  • ウォーミングアップ不足
  • 水分不足
  • 睡眠不足や疲労
  • 運動フォームの悪さ
  • 寒い環境による筋肉の柔軟性低下
  • 足首が硬い
  • 股関節の可動域が小さい

治療

ふくらはぎの治療

①保存療法

  • アイシング&湿布
  • 薬物療法…湿布や痛み止めの内服、ステロイドなどの注射で痛みや腫れ、患部への負荷を抑えます
  • 装具療法…患部を固定し、自然治癒を促す治療法です。テーピング・サポーター・包帯などで固定し、安静を保つことで、筋肉の回復を促します
  • 物理療法 …機器による温熱や、電気的な刺激を利用して痛みや炎症を抑える治療法で、温熱療法と寒冷療法があります。温熱療法では患部を温めることで血行を良くし、回復の活性化を図ります。寒冷療法は、アイシングなどで患部を冷やして痛みを和らげる方法です
  • 運動療法 …痛みが酷くないようであれば、患部をサポートする機能を強化しながら治療していく運動療法が効果的です。医師や理学療法士など、専門家の指示を仰ぎながら行うことが大切です
  • 運動器カテーテル治療…カテーテルを痛みの原因である血管がある場所の近くで抗生物質でできた薬剤を注入し、もやもや血管を死滅させます
  • 体外衝撃波治療…衝撃波を患部に照射することで慢性的な痛みの軽減、組織の再生を促します
  • PRP療法…採取した血液を抽出加工して作るRPP(多血小板血漿)を、患部に注射する治療です。PRPに含まれる成長因子が、傷ついた組織の修復を促進します
  • 超音波療法…超音波の振動を利用した施術で、血行の改善や炎症の軽減、疼痛の緩和、組織の伸展性向上、治癒力向上などの効果が期待できます
  • 再生医療…自己組織を材料とし、失った組織・臓器の機能回復が期待出来る先進的な治療法です。体に負担が少なく、手術に比べて治癒までの期間が短く済むことや、痛みの根本的治療にもなり得ると考えられています

②手術療法

重度の肉離れの場合、自然治癒は困難です。また重度により出血量が多くなると、周囲の組織や血管を圧迫することで、最悪の場合は血流が途絶え、周辺部位に壊死が生じます。
これらのことから手術による再建術が行われことがあります

整形外科で治療を受ける

まずは整形外科で診断を受けましょう。
軽度の痛み以上の症状がある場合は、レントゲンやMRIなど精密検査を行い、医師の診断を受けることが重要です。正しい治療・リハビリを受けずにいると受傷した箇所は正しく治癒せず、可動域の低下・関節の不安定さが残り、結果としてより悪化を繰り返してしまいます。

接骨院、整骨院で治療を受ける

接骨院、整骨院で治療を受けることで早期回復を促すことができます。症状の解消だけではなく、体全体のバランスを見て原因を追及するため、体全体の不調を取り除くことができます。
また、関連する筋肉の柔軟性を高める為にそれらの筋肉をほぐす手技や、電療機器を使った施術を行います。急性期の症状が改善した後、患部のトレーニングを行いバランスよく筋肉をつけ、テーピングなどを行い再発防止につとめます。

RICE処置

ライス処置

安静(Rest)
損傷部を中心に動かないように包帯などで固定します。安静は局所のみならず全身的なものも含み、体内の循環が活発にならないようにします。

冷却(Ice)
患部を冷やすことで血管が収縮し血流を減少させ内出血を抑えます。さらに、患部周囲の組織の代謝を低下させることにより炎症を抑えることができます。1回のアイシングの時間としては15分〜20分が目安です。ただし、凍傷には十分注意してください。

圧迫(Compression)
患部を包帯やサポーターまたはテーピングなどで圧迫することにより内出血による腫れを抑えます。

挙上(Elevation)
患部を心臓よりも高い位置に上げることにより血液の環流を助けたり、局所の内出血を抑えます。

アイシング

アイシング

急性期(怪我や損傷の直後から3日間)に患部を冷却することで炎症による痛みや腫れ、熱感を軽減し、症状悪化を防ぐ方法です。特に急性の症状である熱を持った痛みに対して効果的です。
アイシングは、氷嚢やを使って患部を冷やし、前述の炎症による痛みや腫れ、熱感の軽減を目指すと同時に、これらの症状悪化を防ぐことを目的としています。

  1. 氷水を入れる袋1つを用意します
  2. 氷水を袋に入れて氷嚢を作ります
  3. 患部に氷嚢をのせて20分間冷やします
  4. 20分後、タオルと氷嚢を患部から離し、体温が自然に元に戻るのを待ちます。
  5. 2時間おきに1〜4を行います。
    ここまでを1セットとし、1日に2~3セットを3日間行ってください。

肉離れから早期復帰するために

1. 大至急アイシング・RICE処置を行う

肉離れは、出血してからどれくらいの時間が経過し、その間どんな状況だったのか(けがをしてからどれくらい経っているのか、アイシングしていた時間、RICE処置していたか否か)によって治る期間も変わってきます。
「肉離れになってしまった」と思ったら、大至急アイシング、RICE処置を行ってください。そうすることで、炎症、腫れや内出血を最小限に抑え、筋肉の修復を促し、結果的に全治までの期間も短縮できます。
ただし、アイシング・RICE処置は、肉離れをした直後から4日目以降も続けると、かえって逆効果になる可能性があります。そのため期間は医師に相談しましょう。

RICE処置、アイシング

2. すぐに適切な治療を受ける

すぐに治療を受けないと重症化する可能性が高いです。重症化することで治療期間が何ヶ月も長引いてしまいます。
また、適切な治療を受けることも重要です。適切な治療が受けられていなければいつまで経っても良くなりません。ある病院では、痛みが引くまで経過観察という提案が一向に良くならず。別の病院では、骨にも異常があるということが判明。このようなケースは実際にあるので、一向に良くならない場合は別の病院に診断してもらいましょう。特に足の専門医、または得意とする病院やスポーツ整形外科へ行くことを強くお勧めします。

3. 安静と正しいケア

肉離れの症状が出たら、患部はもちろんのこと、なるべく体を動かさず、休ませることに集中しましょう。安静することは筋肉や組織への負担を軽減し、回復を促すことを目的としています。まずは休むことが早期回復への近道となります。安静の期間として、一般的には1週間ほど必要ですが、肉離れの度合いによって変わるため、医師と相談しましょう。
また、「多少痛みや違和感があっても動かせるから」と自己判断で患部へのマッサージやストレッチなどをすると、せっかく回復したところが再び損傷してしまうこともあります。医師の許可のもとで行ないましょう。

4. 筋肉を回復させるための栄養をとる

肉離れを一日も早く治すには、筋肉や筋膜のもととなる、また筋肉や骨を強化に必要なたんぱく質とビタミンBをとることが有効です。
「また、傷ついた組織の修復や、肉離れ予防につながる栄養も大切です。筋肉の強化のサポート&回復を早めるコラーゲン。筋肉を柔らかくして肉離れ予防に繋がるミネラルを含む食品、たんぱく質をつくるサポートとなるビタミンCの摂取も有効です。
具体的には次のような食品をとるのがおすすめです。

<良質なたんぱく質>

鶏肉や豚肉などの肉類、魚、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、納豆や豆腐などの大豆製品

<ビタミンB群>

鶏肉、レバー、卵。特にB6を含むバナナ、鮭、まぐろ赤身

<コラーゲン>

豚肉、手羽先、ウナギ、エビ、ゼラチンなど

<ミネラル>

乳製品、海藻類、貝類など

<ビタミンC>

キャベツ、ピーマン、ブロッコリー、キウイ、アセロラなど

食事だけでこれらの栄養素をしっかりとれない、またはより栄養素をとるためにプロテインやサプリメントを取り入れるのもおすすめです。

5. 風呂に浸からない、温湿布を使わない(炎症がある場合)

肉離れを起こした箇所は炎症している状態です。その状態で入浴してしまうと、血行が促進されて炎症が悪化します。
痛みや違和感がある間は、入浴を避けてできるだけ低い温度のシャワーだけで済ませるようにしましょう。温湿布も同じく使わないようにしてください。
ただし、これらは炎症・痛み・違和感があるときのみに限られ、それ以降は患部を温めることは反対に早期回復を促します。開始時期に個人差があるので、医師の指示に従ってください。

6. PRP療法を検討する

PRP療法とは、自身の血液中に含まれる、傷を治す働きを持つ「血小板」という成分を利用し、損傷した筋肉組織の修復を促す治療法です。
採取した血液を遠心分離機にかけて、血小板を濃縮した液体を注射で患部に注入します。30分ほどで一連の治療を終えられるので、身体への負担も大きくありませんが、1回あたり数万円から数十万円程度の費用がかかります。
PRP療法は肉離れを含むスポーツ外傷に高い効果が期待できる治療法なので、スポーツに早期復帰したい方にはおすすめです。

肉離れからの早期復帰
プログラム6選

①マッサージ

マッサージで筋肉の張り、緊張状態を和らげることで血液の流れを良くし、回復を早めることができます。患部の周辺や関連するところを軽くもむ程度で痛みを抑えることができ、筋肉と関節の動きが良くなります。お風呂上がりにすると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。痛む箇所は避けるようにしましょう。
ただし、マッサージの開始時期よりも前に行うと悪化の恐れがあります。
必ず医師に、一つ一つのメニューの開始時期の確認と、許可を得てから行ってください。

ふくらはぎの肉離れの痛みを最速で治す3つの方法

【1週間早く治る】肉離れ 1:52から始まります

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②ストレッチ

ふくらはぎをストレッチをすることで、可動域の確保、血流が改善し疲労が軽減されるため競技のパフォーマンスも向上します。お風呂上がりにすると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。
ただし、ストレッチの開始時期よりも前に行うと悪化の恐れがあります。
必ず医師に、一つ一つのメニューの開始時期の確認と、許可を得てから行ってください。

寝ながらふくらはぎのストレッチ【5分間】

ふくらはぎの痛みにオススメのストレッチ【5分間】

ふくらはぎのストレッチ【5種目】

③筋力トレーニング

筋肉が弱いと靭帯の張力が不足し、怪我をしやすくなることがあるので、筋肉を鍛えることは重要です。筋肉を鍛えることで体への負担を減らす上に、血流を良くすることで患部の状態が良くなりやすく、競技へのパフォーマンスも向上します。
ただし、筋トレの開始時期よりも前に行うと悪化の恐れがあります。
必ず医師に、一つ一つのメニューの開始時期の確認と、許可を得てから行ってください。

ふくらはぎの筋トレ【2分間】

【5分間】ふくらはぎトレーニング!休憩なし!

体幹トレーニング

ここからはより強度な体幹トレーニングです。
開始時期よりも早く行うと重症化へに繋がるため、必ず医師に、一つ一つのメニューの開始時期の確認と、許可を得てから行ってください。
また、患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください。
体幹とは、頭と手足を除いた胴体(背、腹まわり)のことです。高いパフォーマンスを発揮するためには全身の力を連動させ、ロスなく全身に伝えることです。ただし、体幹が強いけど、動きが出ない選手はパフォーマンスに繋がりません。そのため、「柔軟性」「強さ」が両立している体幹を作ることが必要です。体幹トレーニングは体幹の動き作り(ストレッチなど)とセットが鉄則です。この両立した体幹を向上させることで、下記の効果があります。

  1. 全身の動きを安定化させダッシュスピードが上がる
  2. ジャンプ力、バランス力がが上がる
  3. 身体のコントロールがよくなることで、ボールコントロールやプレーの精度が上がる
  4. 全身が安定しボールに力を伝えやすいため、シュート力・成功率が上がる
  5. リバウンドやポストプレーなどで当たり負けしない
  6. 姿勢の改善により、呼吸がしやすくなり、持久力が上がる
  7. 転倒・接触による怪我や肉離れを予防する
  8. トレーニングの効率を高める

体幹を中心とした、様々な筋肉を鍛えることで復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましょう!
※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

3分体幹ストレッチ

体幹多軸ストレッチ

カリーのスキルコーチ直伝!体幹トレーニング7選

ボールを使った5分間の体幹トレーニング

④バスケトレーニング

ここからは怪我をしていてもできるバスケトレーニングです。ここで覚えていただきたい言葉が「患部外トレーニング」です。
患部外トレーニングとは、怪我している部位以外のトレーニングを行うことです。怪我をしている間でも動かせる部位で練習を行うことで、復帰をスムーズにすることができます。また、怪我をしているときにこそ強化できる部分があったり、新たなステップアップや、今まで気づかなかった新たな発見があるものです。
復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましょう!

※無理はしないでください

※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

椅子に座ってできるドリブル・ハンドリング練習!!

⑤心肺機能(体力)トレーニング

怪我をして1ヶ月休養すると、以前の心肺機能(体力)を取り戻すのに1~2ヶ月かかると言われています。早期復帰を目指す人にとってこの期間は痛手です。心肺機能が低下すると、体内の酸素量が低下しパフォーマンスの低下、心拍出力の低下によりすぐ疲れやすくなります。そのため足を怪我していてもできる心肺機能トレーニングをすることで、早期復帰を目指し、怪我前よりもレベルアップした体を手に入れましょう!
※痛みが出る場合はすぐに止めてください

エアロバイク

エアロバイク

エアロバイクは怪我によって走れない方でも、安全に太ももやお尻の筋肉、心肺機能(体力)を鍛えられます。自宅にエアロバイクがあるという方はなかなかいないはずなので、ジムなどで利用する時には毎回足の位置やサドルの位置を確認しておきましょう。正しい位置を知りたい時には管理人さんなどに聞くのが一番。間違った位置で行ってしまうと、足への負担が大きくなってしまいます。以下が具体的なメニューです。

  1. 400mインターバル走を想定
    60秒 × 10セット リカバリー45秒
  2. 1000mインターバル走を想定
    180秒 × 5セット リカバリー60秒
  3. ペダルの重さについては、脈拍が170程度まで上がる重さに設定してください

水泳

水泳

水泳は全身運動のため、全身の筋肉、心肺機能を鍛えることができます。また、水圧の力でマッサージ効果もあり、疲労の回復にも役立ちます。足が痛い場合は、足にビート板を挟んで手だけで前に進むようにすれば、効果があります。アスリートもプールトレーニングを活用しているので、非常に有効です。以下が具体的なメニューです。

  1. クロールで25m
    10本〜30本ペース リカバリー30秒
  2. クロールで50m
    5本〜15本ペース リカバリー60秒
  3. 目安は8〜9割の力で泳いでください。設定タイムを決めてもいいでしょう。

⑥メンタル

スポーツの世界で優れたパフォーマンスを発揮するためには、メンタル(心)を鍛えることが当たり前になっており、リハビリ時期でも同じことがいえます。リハビリをより効果的に・迅速に復帰する・ケガをする前以上のパフォーマンスのために頑張っていきましょう!

瞑想

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