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シンスプリント/脛骨過労性骨膜炎 _ すねの内側

シンスプリントは、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)とも呼ばれるランニング初心者が陥りやすいランニング障害です。運動中や運動後に足のすねの内側(下方1/3あたり)に痛みが生じます。サッカー、バスケットボールやバレーボールなど、ダッシュやジャンプを繰り返すスポーツでも多い症状で、主に筋力が不足していたり、オーバーユース(使い過ぎ)などが原因で発症します。痛みを我慢して練習を続けていると、膝の内側が痛くなる鵞足炎や膝の外側が痛くなる腸脛靱帯炎などへ重症化する可能性があります。
痛みは運動の開始時から起こりますが、運動を継続していると弱くなってきます。最初は、走ったり歩いたりしているときに、かかとが着地した直後にだけ痛みを感じます。さらに走り続けると、足がついていある間ずっと痛むようになり、やがて常に痛みがある状態になります。 スポーツ復帰の目安は、初期であれば2週間程度、重症であれば2~3か月後くらいです。

足の怪我

症状

  1. すねの下から1/3くらいの内側あたりに痛み・腫れ(運動後などにジーンとする痛み)
  2. すねの下の方の内側を押すと痛い(圧痛がある)
  3. 運動中、または前後に痛みを感じる
  4. 安静にしていても痛みを感じて、歩けなくなる

原因

  1. オーバートレーニング
  2. 下肢の筋力不足
  3. すねとふくらはぎ、他の筋肉の柔軟性低下
  4. 負担のかかりやすいランニングフォーム
  5. 衝撃を受けやすい足の形(扁平足、回内足、O脚)
  6. 急に体重が増えた人
  7. 硬いグランドや路面でのトレーニング
  8. かかとがすり減っているシューズやクッションが薄いシューズの使用

治療

すねの治療
  • 安静…まずは、患部の安静を図りましょう。 初期段階であれば2週間くらい安静にしているだけで、ほとんどが改善します
  • アイシング&湿布
  • 運動療法…症状に合わせたストレッチ、リハビリを行っていきます
  • 物理療法 …電気刺激療法により筋肉の緊張緩和を行います。
  • 薬物療法 …消炎鎮痛薬の内服を行い疼痛の軽減を図ります。
  • その他 …足底板(インソール・靴の中敷き)、クッション性の良いシューズを使用します
  • 体外衝撃波治療…衝撃波を患部に照射することで慢性的な痛みの軽減、組織の再生を促します
  • 運動器カテーテル治療…カテーテルを痛みの原因である血管がある場所の近くに抗生物質でできた薬剤を注入し、もやもや血管を死滅させます

整形外科で治療を受ける

シンスプリントのほかにもスポーツに伴ってすねの内側が痛くなるケガのひとつに、疲労骨折があります。痛む箇所もよく似ていていますが、治療方法が異なるので正確な判断が求められます。 シンスプリントの場合、痛みを感じる部分が10センチ程度と長く、約40%は両足のすねに症状が出るのが特徴です。一方、疲労骨折の場合は、片方のみに発症するケースがほとんどで、5センチ以下のピンポイントで痛みが発生します。 ただし、こうした症状だけで、自己判断するのは危険。気になる症状があったら、整形外科でMRIによる画像検査をしてもらいましょう。

接骨院、整骨院で治療を受ける

電療機器を利用することで炎症の早期回復を促すことができます。また、症状の解消だけではなく、体全体のバランスを見て原因を追及するため、体全体の不調を取り除くことができます。
また、後脛骨筋やヒラメ筋の柔軟性を高める為にそれらの筋肉をほぐす手技を行います。 急性期の症状が改善した後、下腿のトレーニングを行いバランスよく筋肉をつけ、テーピングなどを行い再発防止につとめます。

アイシング

アイシング

急性期(怪我や損傷の直後)に患部を冷却することで炎症による痛みや腫れ、熱感を軽減し、症状悪化を防ぐ方法です。特に急性の症状である熱を持った痛みに対して効果的です。
アイシングは、氷嚢やを使って患部を冷やし、前述の炎症による痛みや腫れ、熱感の軽減を目指すと同時に、これらの症状悪化を防ぐことを目的としています。

  1. 手のひらサイズのタオル1枚と氷水を入れる袋1つを用意します。
  2. 氷水を袋に入れて氷嚢を作り、手のひらサイズのタオルを水で濡らします。
  3. 患部に濡れたタオルをのせ、さらにその上から袋に入れた氷水(氷嚢)をのせて20分間冷やします。
  4. 20分後、タオルと氷嚢を患部から離し、体温が自然に元に戻るのを待ちます。

これより短い時間では患部の冷却が足りないため、急性の怪我で期待される炎症を抑制する効果が得られないと言われています。よって適切な冷却効果を得るためには、患部を20分間冷やし、患部を10~15℃程度低下させる必要があると考えられています。1日に2~3回が目安です。

シンスプリント / 脛骨過労性骨膜炎から早期復帰するために

シンスプリント / 脛骨過労性骨は、炎症だけが原因ではないので、アイシングや湿布で炎症だけをとっても根本的に改善しません。シンスプリントになってしまう原因は、上記の「原因」の通り、8つの根本原因があります。これらを改善しなければ、いくら炎症をおさめる行為をしても痛みの根本改善にはなりません。
また早期復帰するためには、リハビリをしながらトレーニングをすることで、筋力と体力をなるべく維持、向上させることがとても重要になります。シンスプリントは、運動後のみ痛みがある場合は運動制限はしませんが、運動時に痛みがある場合は2週間程度の運動制限を行います。

  1. Grade Ⅰ:運動時のみ痛みがある
  2. Grade Ⅱ:運動前後に疼痛(とうつう=うずくような痛み)があるがスポーツ活動に支障はない
  3. Grade Ⅲ:運動前中後に疼痛がありスポーツ活動に支障をきたす
  4. Grade Ⅳ:疼痛が強くスポーツ活動は不可能

Grade Ⅲ以上では運動を休止する必要があります。 自発痛(何もしなくても痛みがある状態)がなくなったら、ウォーキングなど軽い運動から始め、両足ジャンプでも痛みが出なくなったらランニングなど、段階を踏んで復帰することが大切です。

根本原因へのアプローチ

ここでは前半で記載した8つの「原因」のうち、すぐに解決することができず、継続的に行う必要がある2~5の原因に対してそれぞれのアプローチを説明していきます。

すねとふくらはぎ、他の筋肉の柔軟性低下

ランニング時にふくらはぎ部分の筋肉が硬くなっていると、骨に牽引ストレスがかかって痛みの原因になります。すねの痛みを自覚している人は、日頃からすねとふくらはぎのストレッチを入念に行いましょう。

ー ふくらはぎ(ひらめ筋)のストレッチ ー

壁に手をつき、膝を曲げてふくらはぎの筋肉を伸ばします

ヒラメ筋のストレッチ

衝撃を受けやすい足の形(扁平足、回内足、O脚)

足の裏のアーチ(土踏まず)は着地によって地面から受ける衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。土踏まずのない扁平足の人は地面からの衝撃がダイレクトに伝わるため、シンスプリントになりやすいといわれています。
足裏のアーチを改善させる方法として、素足での青竹踏みやテニスボールを使った足裏マッサージなどが有効。足指でのじゃんけん、足指を使ってタオルをたぐりよせる「タオルギャザー」といった足指トレーニングを行うことも扁平足解消に役立ちます。

ー タオルギャザー ー

10回たぐり寄せます。3セット行います。
たぐり寄せる時に膝が内側に入らないように注意しましょう。慣れてくるとタオルの先端に重しをのせるとより効果的です。

タオルギャザー

負担のかかりやすいランニングフォーム
下肢の筋力不足

ランニングフォームが悪いと、すねの骨にねじれが生じて、痛みが生じやすくなります。着地足のつま先と膝が同じ方向になるよう意識しましょう。
また、着地するときにドタバタと音を立てるのは禁物です。ソフトなランディング(着地)を心がけてください。ソフトランディングを行える筋力をつけるために、下記の下半身トレーニングが有効です。

  • スクワット
  • 膝曲げ歩行
  • カーフレイズ
  • ランジ
  • チューブトレーニング

ただし、日頃部活やスポーツに励む人たちにとっては下肢の筋力不足が原因ではなく、オーバーユースや筋肉の柔軟性が低下していることが多いです。

シンスプリントからの早期復帰
プログラム6選

①マッサージ

すねの内側に加え、ふくらはぎや足裏が緊張し硬くなると動きが悪くなりため、マッサージで外圧を加えることことで疲労軽減や柔軟性向上の効果があり、シンスプリントの改善、予防がすできます。
足湯で温めた後やお風呂上りにやると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。

後脛骨筋のマッサージ

後脛骨筋のマッサージ

後脛骨筋はふくらはぎを構成する部位のうち、外側からは見えないインナーマッスルに分類される筋肉です。後脛骨筋をマッサージするにはふくらはぎの中心に左右の親指を添えてください。
そこから硬くなっている部位を探しながら、ゆっくりと揉み込んでいきます。
後脛骨筋が硬くなるとシンスプリントを発症しやすくなるため、定期的なマッサージで柔軟性を確保しておきましょう。

足裏からシンスプリントのマッサージ

ゴルフボールを使ったマッサージ

ゴルフボールは足裏を揉みほぐすのに適切な形と硬さを帯びています。使い方は非常に簡単です。ゴルフボールを足の下に置いたら、そのまま前後左右に足を動かしましょう。軽く体重をかけながら動かすことで、適度な刺激を足裏に与えることができます。
土踏まずがある足の内側や足の外側のアーチを意識しながらゴルフボールを転がすと、足裏を効率的に揉みほぐすことができます。

足裏のマッサージ

ゴルフボールを使ったマッサージ

足裏に疲労が溜まっていると土踏まずが崩れた扁平足に近い状態になりやすく、着地による衝撃が脛を構成する骨や筋肉に負担をかけてシンスプリントを引き起こします。足の下に竹を置いて足踏みする運動は足裏を効果的にストレッチすることができます。足裏の筋肉が伸びていることを感じるまで、竹を踏み続けましょう。

スネの内側のマッサージ

ゴルフボールを使ったマッサージ

内側のくるぶしからスネの内側の骨に沿ってマッサージします。指の腹を当て、骨から筋肉をはがすようなイメージで行います。少し押さえただけで強い痛みがある場合は、さする程度で行います。

足裏のマッサージ

ゴルフボールを使ったマッサージ

足の裏を親指でマッサージします。痛気持ちいいと感じる程度の強さで、マッサージを行います。触っていて硬さを感じる部位があれば、その部分を中心にマッサージを行います。

②ストレッチ

シンスプリントを中心としたストレッチを行うことで柔軟性を向上、動きをスムーズにすることで、根本的改善を目指します。
足湯で温めた後やお風呂上りにやると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。

ふくらはぎ周辺のストレッチ4選 0:00 から始まります

鵞ヒラメ筋・後脛骨筋肉のストレッチ 0:44 から始まります

③筋力トレーニング

ここからは体幹を中心とした筋力トレーニングです。体幹とは、頭と手足を除いた胴体(背、腹まわり)のことで、サッカーをする上でとても重要な筋肉で、足を怪我していても鍛えることができます。 一般的には、体を固定した状態での「体幹トレーニング」も効果的ですが、スポーツする人は、固めすぎはよくありません。動きをコントロールしながら、体を自在に動かす必要があります。特に、サッカーなどの回旋動作に対する安定性、片足でボールタッチしている中で軸足を安定させるために必要な前側・横・後ろ側のトレーニングが必要です。また、腕の筋肉も瞬発力・加速力・フィジカルの向上にとても重要です。

  1. フィジカルコンタクトに強くなる
  2. 体の軸が安定し踏み込む力が増し、強力なシュートができるようになる
  3. 全身の動きを安定化させダッシュスピードが上がる
  4. 体幹部分の筋肉が強い・安定化することで、足の踏み込みの力が増し、スプリントの速度が上がる
  5. 姿勢の改善により、呼吸がしやすくなり、持久力が上がる
  6. 身体のコントロールがよくなることで、ボールのコントロールやプレーの精度が上がる
  7. より高くジャンプできるようになる
  8. 転倒による怪我や肉離れを予防する
  9. トレーニングの効率を高める

体幹を中心とした、様々な筋肉を鍛えることで復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましう!
※痛みが出る場合はすぐに止めてください

サッカーのための体幹トレーニング

スポーツ選手向け体幹トレーニング

④心肺機能(体力)トレーニング

怪我をして1ヶ月休養すると、以前の心肺機能(体力)を取り戻すのに1~2ヶ月かかると言われています。早期復帰を目指す人にとってこの期間は痛手です。心肺機能が低下すると、体内の酸素量が低下しパフォーマンスの低下、心拍出力の低下によりすぐ疲れやすくなります。そのため足を怪我していてもできる心肺機能トレーニングをすることで、早期復帰を目指し、怪我前よりもレベルアップした体を手に入れましょう!
※痛みが出る場合はすぐに止めてください

エアロバイク

エアロバイク

エアロバイクは怪我によって走れない方でも、安全に太ももやお尻の筋肉、心肺機能(体力)を鍛えられます。自宅にエアロバイクがあるという方はなかなかいないはずなので、ジムなどで利用する時には毎回足の位置やサドルの位置を確認しておきましょう。正しい位置を知りたい時には管理人さんなどに聞くのが一番。間違った位置で行ってしまうと、足への負担が大きくなってしまいます。以下が具体的なメニューです。

  1. 400mインターバル走を想定
    60秒 × 10セット リカバリー45秒
  2. 1000mインターバル走を想定
    180秒 × 5セット リカバリー60秒
  3. ペダルの重さについては、脈拍が170程度まで上がる重さに設定してください

水泳

水泳

水泳は全身運動のため、全身の筋肉、心肺機能を鍛えることができます。また、水圧の力でマッサージ効果もあり、疲労の回復にも役立ちます。足が痛い場合は、足にビート板を挟んで手だけで前に進むようにすれば、効果があります。アスリートもプールトレーニングを活用しているので、非常に有効です。以下が具体的なメニューです。

  1. クロールで25m
    10本〜30本ペース リカバリー30秒
  2. クロールで50m
    5本〜15本ペース リカバリー60秒
  3. 目安は8〜9割の力で泳いでください。設定タイムを決めてもいいでしょう。

⑤サッカートレーニング

足を怪我していても、歩きながら、または座りながらボールを裸足で触るだけで繊細なタッチ・柔らかいタッチを得ることができます。裸足でボールを触るということは、ボールの感覚がダイレクトに伝わります。より敏感に肌でボールの重さや感触を体感することになります。それに慣れると、ボールが足に吸い付くようなトラップが出来たり、ドリブルなどのボールコントロールがより繊細になります。サッカー王国ブラジルでは幼少期に裸足でトレーニングすることが普通であり、川崎フロンターレをJ1優勝へ導くチームの土台を作り上げた風間監督も裸足でのトレーニングを取り入れていました。 使用するボールについては、以下を参考にしてみてください。

https://koufu-soccer-story.com/soccer_ball-sense/

※無理はしないでください

※痛みが出る場合はすぐに止めてください

サッカー少年

⑥メンタル

スポーツの世界で優れたパフォーマンスを発揮するためには、メンタル(心)を鍛えることが当たり前になっており、リハビリ時期でも同じことがいえます。リハビリをより効果的に・迅速に復帰する・ケガをする前以上のパフォーマンスのために頑張っていきましょう!

瞑想

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