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テニス肘

テニス肘(正式名称を上腕骨外側上顆炎)とは、手首に負担がかかる動作を行った時、肘の外側から前腕(ぜんわん:肘から手首の部分)にかけて痛みが起こる症状のことです。ラケットでボールを打つ動作を繰り返すテニスやバドミントンに多い症状です。通常、じっとしている時にはあまり痛みがなく、「手首を反らせる」「内外にひねる」「指を伸ばす」いうような手首を使った動作を行った時に肘の外側に痛みが起こるのが大きな特徴です。痛みの原因は、肘の外側にある上腕骨外側上顆という部分に付着する腱の炎症で、ラケットでボールを打つ際の衝撃が、手首から肘の付け根の腱に伝わり、腱に炎症・痛みを発症させます。これが、テニス肘の基本的なメカニズムになります。
スポーツ復帰までに、軽度であれば数週間〜1ヶ月程度、中等度で1~3ヶ月程度、重度で3~6ヶ月程度かかります。また、保存療法で症状が改善しない場合は、手術が必要です。

肘の怪我

症状

  • 肘の外側から前腕にかけて痛みが出る
  • 手首を反らす、 指を伸ばす、物を持ち上げると痛む
  • ドアノブを捻る、タオルを絞る、ペットボトルの蓋を開く動作で痛い
  • 安静時には痛みがないことが多い
  • 重症化すると、安静時にも痛みが出たり、握力が低下したりすることがある
  • コップを持つ動作が痛い
  • マウス操作やタイピング動作が痛い

原因

  • 手や腕の酷使(オーバーユース)
  • ラケットのグリップの太さやガットの硬さ
  • スイングのフォーム

治療

肩の治療

①保存療法

  • 薬物療法…湿布や痛み止め・消炎鎮痛剤の内服や、ステロイド注射・ヒアルロン酸注射で痛みや腫れを抑え、回復を促します
  • 装具療法…患部を固定し、自然治癒を促す治療法です。サポーターやテーピングなどで固定し、安静を保つことで、回復を促します
  • 物理療法 …機器による腰の温熱や、電気的な刺激を利用して痛みや炎症を抑える治療法です。温熱療法(温熱ホットパックなど)では腰を温めることで血行を良くし、運動以外で運動機能の活性化を図ります。痛みが慢性化した場合に効果的です
  • 運動療法 …痛みが酷くないようであれば、患部をサポートする機能を強化しながら治療していく運動療法が効果的です。ただし、がむしゃらにリハビリを行っても治療効果が高いわけでもありません。医師や理学療法士など、専門家の指示を仰ぎながら行うことが大切です
  • 運動器カテーテル治療…カテーテルを痛みの原因である血管がある場所の近くで抗生物質でできた薬剤を注入し、もやもや血管を死滅させます
  • 体外衝撃波治療…衝撃波を患部に照射することで慢性的な痛みの軽減、組織の再生を促します
  • 超音波療法…衝超音波の振動を利用した施術で、血行の改善や炎症の軽減、疼痛の緩和、組織の伸展性向上、治癒力向上などの効果が期待できます
  • PRP療法…採取した血液を抽出加工して作るRPP(多血小板血漿)を、患部に注射する治療です。PRPに含まれる成長因子が、傷ついた組織の修復を促進します
  • 再生医療 …自己組織を材料とし、失った組織・臓器の機能回復が期待出来る先進的な治療法です。体に負担が少なく、手術に比べて治癒までの期間が短く済むことや、痛みの根本的治療にもなり得ると考えられています

②手術療法

保存療法で症状が改善しない場合は、手術が必要で、主に腱切離手術と関節鏡下手術があります。
腱切離手術は、炎症を起こしてしまっている腱を切除する手術です。
肘関節鏡視下手術は、肘の中にカメラを入れて肘関節の中を観察しながら、傷んでいる組織を取り除く手術です。

整形外科で治療を受ける

まずは整形外科で診断を受けましょう。
軽度の痛み以上の症状がある場合は、レントゲンやMRIなど精密検査を行い、医師の診断を受けることが重要です。正しい治療・リハビリを受けずにいると受傷した箇所は正しく治癒せず、可動域の低下・関節の不安定さが残り、結果としてより悪化を繰り返してしまいます。

接骨院、整骨院で治療を受ける

接骨院、整骨院で治療を受けることで早期回復を促すことができます。症状の解消だけではなく、体全体のバランスを見て原因を追及するため、体全体の不調を取り除くことができます。
また、関連する筋肉の柔軟性を高める為にそれらの筋肉をほぐす手技や、電療機器を使った施術を行います。急性期の症状が改善した後、患部のトレーニングを行いバランスよく筋肉をつけ、テーピングなどを行い再発防止につとめます。

RICE処置

ライス処置

安静(Rest)
損傷部を中心に動かないように包帯などで固定します。安静は局所のみならず全身的なものも含み、体内の循環が活発にならないようにします。

冷却(Ice)
患部を冷やすことで血管が収縮し血流を減少させ内出血を抑えます。さらに、患部周囲の組織の代謝を低下させることにより炎症を抑えることができます。1回のアイシングの時間としては15分〜20分が目安です。ただし、凍傷には十分注意してください。

圧迫(Compression)
患部を包帯やサポーターまたはテーピングなどで圧迫することにより内出血による腫れを抑えます。

挙上(Elevation)
患部を心臓よりも高い位置に上げることにより血液の環流を助けたり、局所の内出血を抑えます。

アイシング

アイシング

急性期(怪我や損傷の直後から3日間)に患部を冷却することで炎症による痛みや腫れ、熱感を軽減し、症状悪化を防ぐ方法です。特に急性の症状である熱を持った痛みに対して効果的です。
アイシングは、氷嚢やを使って患部を冷やし、前述の炎症による痛みや腫れ、熱感の軽減を目指すと同時に、これらの症状悪化を防ぐことを目的としています。

  1. 氷水を入れる袋1つを用意します
  2. 氷水を袋に入れて氷嚢を作ります
  3. 患部に氷嚢をのせて20分間冷やします
  4. 20分後、タオルと氷嚢を患部から離し、体温が自然に元に戻るのを待ちます。
  5. 2時間おきに1〜4を行います。
    ここまでを1セットとし、1日に2~3セットを3日間行ってください。

テニス肘から早期復帰するために

1. 大至急アイシング・RICE処置を行う

痛めてからどれくらいの時間が経過したか、アイシングしていた時間、RICE処置していたかによって治る期間も変わってきます。
肘の外側から手首にかけて痛みを感じたら、大至急アイシング、RICE処置を行ってください。そうすることで、炎症、腫れや内出血を最小限に抑え、筋肉の修復を促し、結果的に全治までの期間も短縮できます。
ただし、アイシング・RICE処置は、痛めた直後から4日目以降も続けると、かえって逆効果になる可能性があります。一般的に痛めた直後から3日間と言われていますが、アイシングの期間は医師に相談しましょう。

RICE処置、アイシング

2. すぐに病院へ行き、適切な治療を受ける

すぐに治療を受けないと重症化する可能性が高いです。重症化することで治療期間が何ヶ月も長引いてしまいます。
また、適切な治療を受けることも重要です。適切な治療が受けられていなければいつまで経っても良くなりません。ある病院では、痛みが引くまで経過観察という提案が一向に良くならず。別の病院では、骨にも異常が見つかり固定をしないと治らないということが判明。このようなケースは実際にあるので、一向に良くならない場合は別の病院に診断してもらいましょう。特に手の専門医、または得意とする病院やスポーツ整形外科へ行くことを強くお勧めします。

3. 手を中心に全身の可動域・柔軟性の向上

手の全体の可動域と柔軟性を向上させることで、回復を早めることができます。
固くなった筋肉や腱を柔らかくすることで、血流が良くなり、回復物質や酸素が届きやすくなり、回復を早めることができます。また、手首・前腕・肘・肩の連動がスムーズになり、一箇所に負担が集中せずに分散させることで回復を早めることができます。
さらに、手以外の全身の可動域・柔軟性の向上もとても重要です。
ボールを打つときにテニスでは、下半身→体幹→肩→肘→手首と「力の流れ」があります。この流れのどこかが硬いことで、肘や手首に過剰な負担がかかり、テニス肘を悪化・再発させるため、全身の可動域・柔軟性の向上にも取り組みましょう。

4. 手を中心に全身の筋力の強化

筋肉のポンプ作用で血流が改善され、回復物質や酸素が届きやすくなり、回復を早めることができます。
また、腱・筋肉の耐久力が向上され、関節の安定性が高まり、負担を分散させることで回復を早めることができます。
さらに、筋力の強化においても可動域・柔軟性の向上と同様に、3で説明した「力の流れ」があるため全身の筋力強化が重要です。

5. 先進医療を受ける

「治療」の①保存療法で紹介した、下記の治療法は、ほとんどが保険適用外のため高額ですが、早期回復のために高い効果があります。先進医療を受けることで、 2週間〜3ヶ月ほど復帰時期が短縮されたという報告もあります。ぜひ検討してみてください。

  • 運動器カテーテル治療
  • 体外衝撃波治療
  • PRP療法
  • 超音波療法
  • 再生医療

テニス肘からの早期復帰
プログラム6選

①マッサージ

マッサージで筋肉の張り、緊張状態を和らげることで血液の流れを良くし、回復を早めることができます。患部の周辺だけでなく、関連する全身の筋肉を軽くもむ程度で痛みを抑えることができ、筋肉と関節の動きが良くなります。お風呂上がりに行うと、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。痛む箇所は避けるようにしましょう。

テニス肘の重要な3つの治療ポイントをマッサージ 2:57から始まります

「テニス肘の治し方」セルフマッサージで肘の痛みを取る!

テニス肘の治し方 0:43から始まります

瞬間10秒!肘の筋膜リリースでテニス肘を改善 1:08から始まります

テニス肘に効くマッサージ 1:58から始まります

肘の痛みを改善する3つのマッサージ

1日60秒で テニス肘 を治すマッサージ 2:14から始まります

治りが悪い肘の痛みには、これで解決!! 6:17から始まります

②ストレッチ

肘が痛いと肘周辺のストレッチのみだと思いがちですが、肘や手に連なる二の腕や胸、肩、指などのストレッチをすることで、肘への負担をより軽減することができます。また、ストレッチを行うことで可動域の確保、血流が改善し疲労が軽減されるため競技のパフォーマンスも向上します。お風呂上がりに行うと、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。

たった30秒で肘の痛みを根本から解決 2:46から始まります

スマホやPCの使い過ぎによるテニス肘を克服! 3:18から始まります

【整形外科医が教える!】テニス肘のストレッチ 2:25から始まります

【20秒!テニス肘の治し方】肘のズレを矯正する 1:32から始まります

肘が痛い方にオススメのストレッチ 1:26から始まります

【肘の痛み改善】30秒伸ばすだけ! 4:03から始まります

10秒改善!肘の痛み 4:19から始まります

10秒解決!肘の痛み改善「肘関節はがし」 4:40から始まります

クールダウン

ここからストレッチ後のクールダウンです。これらのクールダウンをすることでストレッチ効果がより高まります。

テニス肘の治し方 これで解決! 12:16から始まります

コレだけ30秒テニス肘ストレッチを医師が解説 7:10から始まります

下半身ストレッチ

最後に、「テニス肘から早期復帰するために」の3でも説明したように、手以外の全身の可動域・柔軟性の向上もとても重要です。
ここまでで、肩・肘・手首のストレッチは完了しているため、ここでは下半身のストレッチを行いましょう。(体幹のストレッチは、筋トレ後半部分で説明します)

10分間で下半身全体を柔らかくする万能ストレッチ

③筋力トレーニング

筋肉が弱いと靭帯の張力が不足し、怪我をしやすくなることがあるので、筋肉を鍛えることは重要です。筋肉を鍛えることで体への負担を減らす上に、血流を良くすることで患部の状態が良くなりやすく、競技へのパフォーマンスも向上します。
患部に痛みを感じたら負荷を軽く・または回数を減らし、それでも痛む場合はすぐ中止してください。

肘の外側の痛みを筋トレで根本的に治す方法 5:45から始まります

テニス肘やゴルフ肘で鍛えるべき一番の筋肉とは? 3:26から始まります

30秒改善!肘の痛みにはEトレをやるべし! 3:36と9:08から始まります

ダンベルを使った前腕の筋トレ【5分間】

テニス肘や野球にも!?肩の怪我予防チューブトレーニング

体幹トレーニング

ここからは体幹を中心とした筋力トレーニングです。体幹とは、頭と手足を除いた胴体(背、腹まわり)のことです。高いパフォーマンスを発揮するためには全身の力を連動させ、ロスなく全身に伝えることです。ただし、体幹が強いけど、動きが出ない選手はパフォーマンスに繋がりません。そのため、「柔軟性」「強さ」が両立している体幹を作ることが必要です。体幹トレーニングは体幹の動き作り(ストレッチなど)とセットが鉄則です。この両立した体幹を向上させることで、下記の効果があります。

  1. 全身の動きを安定化させ、フットワーク・ダッシュスピードが上がる
  2. 全身が安定しボールに力を伝えやすいため、ショット力・ボールコントロール・プレーの精度が上がる
  3. 体のブレがなくなりストロークが安定する
  4. サーブの安定感とパワーが増す
  5. 姿勢の改善により、呼吸がしやすくなり、持久力が上がる
  6. バランス力がが上がる
  7. 無理な動きが無くなり、怪我のリスクが減る
  8. トレーニングの効率を高める

体幹を中心とした、様々な筋肉を鍛えることで復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましょう!
※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

3分体幹ストレッチ

体幹多軸ストレッチ

【10分間】日本代表選手もやっている! 体幹トレーニング!

高強度インターバルトレーニング

テニスに必要な筋肉の鍛え方!【背中トレーニング】

【8分間】テニスが安定!8分間体幹強化トレーニング!

【杉山愛のフォア】「体幹で打つ」

体幹を使った打ち方を紹介しています。参考にしてみてください。

④テニストレーニング

ここからは怪我をしていてもできるテニストレーニングです。ここで覚えていただきたい言葉が「患部外トレーニング」です。
患部外トレーニングとは、怪我している部位以外のトレーニングを行うことです。怪我をしている間でも動かせる部位で練習を行うことで、復帰をスムーズにすることができます。また、怪我をしているときにこそ強化できる部分があったり、新たなステップアップや、今まで気づかなかった新たな発見があるものです。
復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましょう!

※無理はしないでください

※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

【動きのスピードを上げる!】5つのフットワークドリル!

⑤心肺機能(体力)トレーニング

怪我をして1ヶ月休養すると、以前の心肺機能(体力)を取り戻すのに1~2ヶ月かかると言われています。早期復帰を目指す人にとってこの期間は痛手です。心肺機能が低下すると、体内の酸素量が低下しパフォーマンスの低下、心拍出力の低下によりすぐ疲れやすくなります。そのため足を怪我していてもできる心肺機能トレーニングをすることで、早期復帰を目指し、怪我前よりもレベルアップした体を手に入れましょう!
※痛みが出る場合はすぐに止めてください

エアロバイク

エアロバイク

エアロバイクは怪我によって走れない方でも、安全に太ももやお尻の筋肉、心肺機能(体力)を鍛えられます。自宅にエアロバイクがあるという方はなかなかいないはずなので、ジムなどで利用する時には毎回足の位置やサドルの位置を確認しておきましょう。正しい位置を知りたい時には管理人さんなどに聞くのが一番。間違った位置で行ってしまうと、足への負担が大きくなってしまいます。以下が具体的なメニューです。

  1. 400mインターバル走を想定
    60秒 × 10セット リカバリー45秒
  2. 1000mインターバル走を想定
    180秒 × 5セット リカバリー60秒
  3. ペダルの重さについては、脈拍が170程度まで上がる重さに設定してください

水泳

水泳

水泳は全身運動のため、全身の筋肉、心肺機能を鍛えることができます。また、水圧の力でマッサージ効果もあり、疲労の回復にも役立ちます。足が痛い場合は、足にビート板を挟んで手だけで前に進むようにすれば、効果があります。アスリートもプールトレーニングを活用しているので、非常に有効です。以下が具体的なメニューです。

  1. クロールで25m
    10本〜30本ペース リカバリー30秒
  2. クロールで50m
    5本〜15本ペース リカバリー60秒
  3. 目安は8〜9割の力で泳いでください。設定タイムを決めてもいいでしょう。

⑥メンタル

スポーツの世界で優れたパフォーマンスを発揮するためには、メンタル(心)を鍛えることが当たり前になっており、リハビリ時期でも同じことがいえます。リハビリをより効果的に・迅速に復帰する・ケガをする前以上のパフォーマンスのために頑張っていきましょう!

瞑想

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