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インピンジメント症候群 (野球肩)

インピンジメントとは「衝突」という意味です。投球時の肘がトップポジションにある時、腕の骨と肩甲骨の骨がぶつかり、その間に腱板や肩峰下滑液包などが挟まれ、痛みが起こるものです。胸を張り腕を前に持ってくる時に、肩の上部に痛みが起こったり、引っかかる感覚を覚えたりします。無理をして投げ続けると、安静時にも痛みが出たり、腕が上がらなくなってしまいます。肩甲骨周りの硬さによるフォームの乱れや腱板が疲労し肩を支える力が弱くなることが原因です。
スポーツ復帰までに、軽度であれば1~2週間程度、中等度で1ヶ月程度、重度で3〜6ヵ月かかり、改善されないような場合手術を行うことがあります。

肩の怪我

症状

急性期などでは熱感が見られ、肩を上げていくとき、ある角度で痛みや引っかかりを感じ、それ以上に上げることが難しくなります。悪化するとこわばりや筋力低下なども伴い、夜間痛を訴えることもあります。肩を上げるとき、あるいは上げた位置から下ろしてくるとき、ほぼ60-120°の間で特に強い痛みを感じることがあり、有痛弧徴候(ペインフルアーク)といわれます。
痛みは肩そのものからやや外側に出ることがあり、時に二の腕まで痛みを感じることがあります。しばしば夜寝ている時や、仰向けになった時に痛みが強くなります。その他、手を腰に回す、手を反対側の肩の方へ動かすといった動作で肩の前方に痛みが出やすくなります。

原因

  • 肩のインナーマッスルとアウターマッスルのアンバランスによる肩甲上腕関節のバランスの崩れ
  • 野球の投手などスポーツによって肩を繰り返し使用するオーバーユース
  • 年齢や疲労、姿勢不良など

治療

肩の治療

インピンジメント症候群にはまず飲み薬や注射、リハビリテーションを組み合わせた保存治療が行われます。多くは保存治療で症状が軽快しますが、十分な効果が得られない場合には、骨のこすれを解消するための手術を行うことがあります。

整形外科で治療を受ける

まずは整形外科で診断を受けましょう。
軽度の痛み以上の症状がある場合は、レントゲンやMRIなど精密検査を行い、医師の診断を受けることが重要です。正しい治療・リハビリを受けずにいると受傷した箇所は正しく治癒せず、可動域の低下・関節の不安定さが残り、結果としてより悪化を繰り返してしまいます。

接骨院、整骨院で治療を受ける

接骨院、整骨院で治療を受けることで早期回復を促すことができます。症状の解消だけではなく、体全体のバランスを見て原因を追及するため、体全体の不調を取り除くことができます。
また、関連する筋肉の柔軟性を高める為にそれらの筋肉をほぐす手技や、電療機器を使った施術を行います。急性期の症状が改善した後、患部のトレーニングを行いバランスよく筋肉をつけ、テーピングなどを行い再発防止につとめます。

RICE処置

ライス処置

安静(Rest)
損傷部を中心に動かないように包帯などで固定します。安静は局所のみならず全身的なものも含み、体内の循環が活発にならないようにします。

冷却(Ice)
患部を冷やすことで血管が収縮し血流を減少させ内出血を抑えます。さらに、患部周囲の組織の代謝を低下させることにより炎症を抑えることができます。1回のアイシングの時間としては15分〜20分が目安です。ただし、凍傷には十分注意してください。

圧迫(Compression)
患部を包帯やサポーターまたはテーピングなどで圧迫することにより内出血による腫れを抑えます。

挙上(Elevation)
患部を心臓よりも高い位置に上げることにより血液の環流を助けたり、局所の内出血を抑えます。

アイシング

アイシング

急性期(怪我や損傷の直後から3日間)に患部を冷却することで炎症による痛みや腫れ、熱感を軽減し、症状悪化を防ぐ方法です。特に急性の症状である熱を持った痛みに対して効果的です。
アイシングは、氷嚢やを使って患部を冷やし、前述の炎症による痛みや腫れ、熱感の軽減を目指すと同時に、これらの症状悪化を防ぐことを目的としています。

  1. 氷水を入れる袋1つを用意します
  2. 氷水を袋に入れて氷嚢を作ります
  3. 患部に氷嚢をのせて20分間冷やします
  4. 20分後、タオルと氷嚢を患部から離し、体温が自然に元に戻るのを待ちます。
  5. 2時間おきに1〜4を行います。
    ここまでを1セットとし、1日に2~3セットを3日間行ってください。

インピンジメント症候群から早期復帰するために

1. 肩周囲などの柔軟性

肩の柔軟性低下や腱板機能の低下、悪い姿勢によって、正常な関節の運動ができないことで生じます。そのため、スポーツ時の痛みが強い場合は運動中止・制限しながら、肩関節周囲の筋緊張の緩和・ストレッチで肩関節の可動域拡大、肩関節や肩甲骨、背中などの柔軟性を向上させることが必要です。また肩だけでなく股関節の柔軟性も重要で、股関節が柔らかいと投げるときに肩への負担が軽減されます。

2. 肩周囲のインナーマッスル強化、他機能の改善

肩のインナーマッスルとアウターマッスルのアンバランスにより肩甲上腕関節のバランスが崩れる事により衝突を誘発させてしまうことが1つの原因です。
そのため、特に肩関節周囲のインナーマッスルの積極的な筋力強化と柔軟性を高める事を目的とし、並行して肩関節の安定性をバランスよく強化します。 また、インピンジメント症候群は疼痛抑制だけでは改善しないことが多く、肩甲胸郭関節・体幹機能障害を見つけアプローチする必要があります。

インピンジメント症候群からの早期復帰
プログラム6選

①マッサージ

マッサージは回復を早め、より早期復帰することができます。患部の周辺や関連するところを軽くもむ程度で痛みを抑えることができ、筋肉と関節の動きが良くなります。お風呂上りにやると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。痛む箇所は避けるようにしましょう。

フォームローラーを使ったマッサージ

手を使ったマッサージ

マッサージガンを使ったマッサージ 1:57 から始まります

②ストレッチ

肩が痛いと肩周辺のストレッチのみ必要だと思いがちですが、肩に連なる体幹や股関節など全身のストレッチをすることで、肩への負担をより軽減することができます。
下記にインピンジメント症候群(野球肩)へのアプローチとストレッチメニューがあるので、ぜひ読んでストレッチを行ってください。お風呂上りにやると、固まった筋肉が柔らかくなりより効果的です。

インピンジメント症候群(野球肩)ストレッチ

効果的な後方組織ストレッチ 1:23 から始まります

2分間の肩甲骨はがし、ストレッチ

肩甲骨可動域アップ5種

医師が選ぶ野球肩ストレッチ

下記のストレッチは難易度が上がります。余裕がある人はぜひ参考にしてください。

野球肩の治し方① 7:00 から始まります
野球肩の治し方② 3:56 から始まります

③筋力トレーニング

ここでは肩周りのインナーマッスルの鍛え方についてです。インナーマッスルの積極的な筋力強化と柔軟性を高める事を目的とし、並行して肩関節の安定性をバランスよく強化します。
筋肉を鍛えることで体への負担を減らす上に、競技へのパフォーマンスも向上します。 ただし、急性期(怪我直後の3日間)はしないようにし、急性期以降に行う場合は患部が痛まない程度で行ってください。

前田健太が必ずやる肩トレーニング

医師が教える肩インナーマッスル 8:45 から始まります

毎日5分!肩インナーマッスル

広島カープ、肩回りのトレーニング

体幹トレーニング

ここからは体幹を中心とした筋力トレーニングです。体幹とは、頭と手足を除いた胴体(背、腹まわり)のことです。高いパフォーマンスを発揮するためには全身の力を連動させ、ロスなくボールに伝えることです。ただし、体幹が強いけど、動きが出ない選手はパフォーマンスに繋がりません。そのため、「柔軟性」「強さ」が両立している体幹を作ることが必要です。体幹トレーニングは体幹の動き作り(ストレッチなど)とセットが鉄則です。この両立した体幹を向上させるにつれ、
ピッチャーであれば

  1. 球速が上がる
  2. コントロールが良くなる
  3. フォームが安定する

バッターであれば

  1. 軽く振っているように見えるのに飛距離が伸びる
  2. あらゆるコースに対応できる
  3. 安定してミートできる
  4. 振りに行ってバットを止める(スイングキャンセル)

などの効果があります。
また、例に挙げると、東北楽天ゴールデンイーグルス・岸孝之投手。
細身でものすごいボールを投げるタイプの典型例と言える投手ですが、その要因の一つが体幹。
決して固めるのではなく、非常にしなやかに使っています。決して筋骨隆々でなくとも、体幹の操作レベルによってそれを補い、プロでストレートが通用する好例です。

体幹を中心とした、様々な筋肉を鍛えることで復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましう!
※患部に痛みが出る場合はすぐに止めてください

3分体幹ストレッチ

体幹多軸ストレッチ

6分体幹トレーニング

体幹・股関節・骨盤トレーニング

阪神選手の体幹トレーニング

ジャンプなど大きな動作もあるので、怪我の影響がない範囲で行ってください

④野球トレーニング

ここからは怪我をしていてもできる野球トレーニングです。ここで覚えていただきたい言葉が「患部外トレーニング」です。
患部外トレーニングとは、怪我している部位以外のトレーニングを行うことです。怪我をしている間でも動かせる部位でバッティング、ピッチング、守備などの練習を行うことで、復帰をスムーズにすることができます。また、怪我をしているときにこそ強化できる部分があったり、新たなステップアップや、今まで気づかなかった新たな発見があるものです。
復帰後のパフォーマンスアップのために頑張りましょう!

※無理はしないでください

※痛みが出る場合はすぐに止めてください

  • バッティング
  • ピッチング
  • 守備

⑤心肺機能(体力)トレーニング

怪我をして1ヶ月休養すると、以前の心肺機能(体力)を取り戻すのに1~2ヶ月かかると言われています。早期復帰を目指す人にとってこの期間は痛手です。心肺機能が低下すると、体内の酸素量が低下しパフォーマンスの低下、心拍出力の低下によりすぐ疲れやすくなります。そのため足を怪我していてもできる心肺機能トレーニングをすることで、早期復帰を目指し、怪我前よりもレベルアップした体を手に入れましょう!
※痛みが出る場合はすぐに止めてください

エアロバイク

エアロバイク

エアロバイクは怪我によって走れない方でも、安全に太ももやお尻の筋肉、心肺機能(体力)を鍛えられます。自宅にエアロバイクがあるという方はなかなかいないはずなので、ジムなどで利用する時には毎回足の位置やサドルの位置を確認しておきましょう。正しい位置を知りたい時には管理人さんなどに聞くのが一番。間違った位置で行ってしまうと、足への負担が大きくなってしまいます。以下が具体的なメニューです。

  1. 400mインターバル走を想定
    60秒 × 10セット リカバリー45秒
  2. 1000mインターバル走を想定
    180秒 × 5セット リカバリー60秒
  3. ペダルの重さについては、脈拍が170程度まで上がる重さに設定してください

水泳

水泳

水泳は全身運動のため、全身の筋肉、心肺機能を鍛えることができます。また、水圧の力でマッサージ効果もあり、疲労の回復にも役立ちます。足が痛い場合は、足にビート板を挟んで手だけで前に進むようにすれば、効果があります。アスリートもプールトレーニングを活用しているので、非常に有効です。以下が具体的なメニューです。

  1. クロールで25m
    10本〜30本ペース リカバリー30秒
  2. クロールで50m
    5本〜15本ペース リカバリー60秒
  3. 目安は8〜9割の力で泳いでください。設定タイムを決めてもいいでしょう。

⑥メンタル

スポーツの世界で優れたパフォーマンスを発揮するためには、メンタル(心)を鍛えることが当たり前になっており、リハビリ時期でも同じことがいえます。リハビリをより効果的に・迅速に復帰する・ケガをする前以上のパフォーマンスのために頑張っていきましょう!

瞑想

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